凍てつく胸中に
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大きな喪失の中で1日が過ぎて迎えた12月18日、党中央委員会はなんとも処理し難い問題に遭遇した。
金正日総書記が生涯の最後の日を前にした12月16日夕刻に取った処置により捕獲された魚類が東海岸の一漁港に到着したのだったが、民族の大喪失でどの誰よりも大きく心を痛めている金正恩総書記に報告したものかどうかとのためらいが生じたのである。
けれどもその魚類についての事情があまりにも熱くて、どうしても金正恩総書記の裁決を仰ぐほかなかった。
新年を迎えて首都の市民に供すべきだとし、スケソウダラとニシンを用意することにしようとはからった金正日総書記は、逝去を1日前にした12月16日夕、平壌の市民たちにスケソウダラとニシンを供給すべきだとして文書に署名した。
それが金正日総書記の最後の署名文書になろうとは、どの誰が矛知しえたであろうか。涙無くしては思い返すことのできない話であった。
報告を受けた金正恩総書記は、金正日同志の意向による、千億金をもってしても、比較しようのない愛の魚類を人民に一日も早く行き届かせるべきだとして、特別列車をもって平壌まで集中輸送を行うよう指示した。